ゆるりんちゅ

HSP風味の社会人です。ゆる~りお気楽を心がけて生きています♪ 妄想が爆裂するとお話を書いたりします

♪ 恩人の音色 ♪

 

今週のお題【ゾッとした話】

 

 

寝苦しい夜が続く今日この頃、いかがおすごしでしょうか?

ありがたいことに私が住む信州では、夜の気温がすぅ~っと下がることが多いんです。

(蛙もケロケロ鳴きますが…)

そのため、夜風を取り入れるため網戸にして眠っています。

(蛙のケロケロは心地好いBGMです)

 

 

もちろん、防犯対策は取っているつもり。

ダイソーさんの【サッシ用補助錠 窓ロック】

このコを2つ購入して、窓を20cm以上開けられない場所に上下でロックします。

20cmであれば、侵入を完全ブロックできなくても手間取ることは間違いないですし

急な夕立が来たら、そのままシュルシュル閉められます。

 

こりゃいいなぁ…と思っていたある晩。

夜更けに異変を感じたんです。

 

 

外から低い話し声。

なんだかガタガタ異音もしてきて…

こういうとき、妄想家の頭の中にはイメージ映像が流れちゃうんですよね。

 

〈イメージ映像…俯瞰で見えます〉

月明かりの中、蠢くふたつの影。

トラックからはしごを降ろして…

どの部屋にしようか物色中

映像のバックには黒いもやがトグロのように渦巻いて

 

 

わわわ…いや~な感じ。

 

でも、私の部屋は2階ですし、あの窓ロックだって付いてます。

私は目覚めているし、いざとなったら対処できるはず。

賊がよそのお宅に侵入しようとしたら、

警察に通報すればいいし、動画だって撮るもんね!

 

通報しながら動画って撮れるのかな…

 

そうだ!

部屋の電気を点けたら【やべ~】って逃げるかも。

そうしよう、それがいいじゃん♪

 

そう思うのに、身体が動かないんです。

え? なに? どうして?

パニックに陥りながら、身体も頭も重くって。

どうしよう…

焦るけれど、意識が遠のきそう。

 

 

活を入れて、遠のく意識に必死で抗っていたのですが、恐らく端から見れば歯を食いしばって横になっている状態だったと思います。

本人の中身は修羅場なのに、身体は動かず、事態は悪化していきます。

 

どうやら賊のターゲットは私の部屋だったらしく、窓の方から物音が!!!

どうにかしなきゃと、焦るけれど依然身体は動きません。

 

頼みの綱は【サッシ用補助錠 窓ロック】

あのコ達がタッグを組んで賊の侵入をブロックしてくれるはず!!!

とにかく私は身体を動かさなくちゃっ

 

今まで経験したことはないものの、金縛りっぽいと判断。

でも、経験がないので金縛りをどうやって解くのか、見当もつきません。

 

賊の一人が私の部屋の窓に手を掛けます。

大丈夫、20cmくらいしか開かないし!

金縛りが解けたら、

はっはっは~、どうだ参ったか~♪

って高笑いしてやる~…

 

 

しかし!

恐ろしいことに、黒い影のような賊はシュルリと窓のすきまから入ってこようとするのです。

もしや、脱獄王:白石由竹さん?!?!

 

 

絶望的な状況でも絶対に諦めません。

が…、動かない手で窓を閉めようと試みても

意識では腕が動いているのに実際はピクリともしないんです。

 

こうなったら気功や念を頼るしかない!

(トレーニングとかしたことないです)

 

猛々しい妄想力をなめんなよ!の心意気で、めっちゃ集中して…

窓をぴしゃんと閉めて、挟んだ賊にダメージを与える念を送ります。

念が効いたのか、賊は窓から抜けられず焦っているようでした。

 

 

やった♪

そう思ったのも束の間、またもや意識が遠のいて…

(くっ、チカラを使いすぎたか)という中二病をこじらせたセリフが頭をよぎります。

なんだかこのときは、【怖さ8:面白がってる2】な感じでした。

 

 

意識が遠のいた隙に、賊はまんまと侵入したようす。

身体が動かないので目だけで黒い影を追います。

あ~どうしよう。

うちには金目のものなんかないんすよ。

これは…苛立った賊に命を奪われるパターンだな。

 

あ~ぁ、まだいっぱい、

やりたいことも、

食べたいものも、

遊びたいことも、

あ~、食べたいものも、

知りたいことも、

そうそう、食べたいもの

あったのに!!!

(食べたいものがありすぎやん)

 

 

食べることに俗世の執着を刺激された私。

諦めるなんて、獰猛な食欲が許しません!

 

うすらぼんやりと、身体の緊張を解けばいいんだろうなぁと思い当たり、最近のおもしろかったことを思い浮かべます。

 

…それで、あの~

最近聞いた【まぬけな音のおなら】の音色を思い浮かべ…

あのおならが音階を変えて連発で鳴ったら…?

な~んて得意の妄想を膨らませて

ぷふっ、と笑いがもれたところで、突如身体の膠着が解けたのです。

 

 

大声を出そうとしますが、うまく声が出せません。

それでも、振り絞って出した声は

「…おい↗」

低く掠れた「お」に対し、語尾の「い」は裏返って。

 

足元にいた賊がこちらを振り返ったのがわかりました。

ギクシャクした動きですが、渾身の力を込めて賊を蹴りました。

足には鈍い痛みがあり、賊にヒットしたことは確実です。

 

…と、ここで

意識がゆるゆる覚醒し始めまして。

賊はしゅぅ~んと消え、夜更けの静寂が戻ったのです。

 

たぶん、夢。

それもひどい悪夢。

恥ずかしながら、いちばん拙い【夢落ち】の手法です。

 

でも、蹴った足は痛く。

しかも、足元に蹴るようなものもなく。

リアルすぎる金縛り感。

まざまざと蘇る恐怖感。

そして私らしい金縛りからの脱出方法。

 

私には夢だとは思えなかったのです。

 

 

翌日、2つ隣の部屋に住む結衣さんから訊かれました。

 

「昨日の夜中、美月ちゃんの声が聞こえたよ。

うふふ、寝ぼけたんでしょ?」

 

聞けば、ちょうど目が覚めたときに声を聞いたそう。

ちなみに外に賊がいるような異変はなかったらしく…

 

「…私、なんて言ってたの?」

 

『おい』って。

 目玉おやじさんが『おい、鬼太郎』って言う感じとそっくりだったよ」

 

あの時絞り出した「…おい↗」は、実際に声に出してたんだなぁ。

夜更けで窓を開けていたとはいえ、結衣さんの耳に届くなんて不思議。

そして…目玉おやじさんに似てたんだ。

そんなことをぼ~っと思いながら

 

「結衣さん、ありがとう。

 私ね、結衣さんのおかげで怖い夢から覚めたんだよ」

 

ぽか~んとした結衣さんは、にっこり笑って

「そうなの? 役に立ったなら嬉しい♪」

 

結果夢落ちではありましたが、あのなんとも言葉にできないおぞましい感覚。

開いてはいけない時空の扉とか、漂う怨念に引き込まれるとか…

そのまま怪事件に繋がることだってあると思うんです。

 

 

 

「あ~、なんか美味しいもの食べたいなぁ」

私がへらへら笑ってのんきに思えるのは、結衣さんのおかげ。

結衣さんの間抜けなおならのおかげで助かったんです。

 

…結衣さんのおなら事件はまた後ほど

 

 

 

今週のお題「ゾッとした話」