彼女さんとのお付き合いで
穏やかになったスノアさん。
そして、恐らく彼女さんの助言で病院を受診したのか、イビキも聞こえなくなりました。
愛息の灯くんと離れて暮らす結衣さんは、
持て余した母心大爆発で「よかった~♪」と涙ぐみ。
まぁ、私だってね。
【幸せを実感できる人が多いほど、幸福に包まれた社会になるのだ~】と思っている人間なので、よかったなぁ~って好意的だったんですよ。
…と、ここまでだったらよかったのですが。
事態は思わぬ展開を迎えます。
わたくし、知りませんでしたの。
恋というものがあんなに盲目的だとは…
そして、アパートの壁がこんなに声を通すとは…
スノアさんカップルは
毎朝&毎晩通話をしているようでして。
通話の内容は聞こえないので、
そこはプライバシー的に安心ですが、
ごにょごにょ喋ってるなぁという雑音は聞こえるのです。
朝の通話は数分程度。
ですが、
夜の通話は終わりが見えないのです。
スピーカーモードでお喋りしているようで、
きゃっきゃうふふ♡がダイレクトに
漏れ聞こえるのですよ。
そのうち、驚愕の事実に気づいちゃいました。
スノアさんカップルの通話は
夜8時頃に始まり、
朝「おはよう。今日も頑張ろうね」で
終わるのだと。
夜から朝までつなぎっぱなしの
噂の【寝落ち通話】
「起きてた?」「スノアくんも?」的な会話(妄想)で、真夜中唐突に始まる会話。
同じタイミングで目覚めたのが嬉しいのか、わはは~♪と笑い声。
「ビックリした~」っていう
平和的な感想ではなく、
「お前ら、眠れ!
起きて喋んな!
リア充を慎め!」と(心の中で)罵ります。
もっと衝撃だったのは、
結衣さんと私には深い溝があるという事実。
地割れのような深~い亀裂なのです。
今まで、結衣さんと私は喜怒哀楽を抱え共有してきた同志だったハズなのに。
こと恋人のいるリア充に関しては、大いなる見解の相違がありまして。
「ごにょごにょが耳障りで眠れない」とイラつく私に対し、
結衣さんはにっこり微笑んで
「恋の始まりっていいなぁ。
幸せのお裾分けって感じ♪」なんて
言っちゃうわけなんですよ。
あわわ…とドン引きの私を置き去りに、
頬を紅らめながら身をよじる結衣さん。
「スノアさんと彼女さんって、
たくさんお喋りして、
よく笑うなぁって、ちょっと羨ましいの」
ぁあん? 羨ましいだぁ?
アイツらがくっちゃべって笑ってやがるから、こちとら目が覚めちゃうんですけどぉ~?
真っ当な非リア充なので、
(心の中で)ガラ悪く因縁つけちゃったのですが
どうやら、結衣さんは結衣カレとの間に
なにやら悩みを抱えているらしいのです。